【 実証実験 】「ブラインドサッカーワールドGP」での「&HANDボランティア」実証実験レポート
一般社団法人PLAYERSと公益財団法人日本ケアフィット共育機構の共同で実施した、スポーツイベントなどでのボランティア活動を支援する「ボランティア用&HAND」実証実験の結果をご報告します。引き続き、実証実験の結果をもとにサービスの改善を行ってまいります。
「ボランティア用&HAND」サービス概要
イベント会場におけるボランティア活動において、手助けを必要とする人がスムーズにボランティアと出会えなかったり、依頼内容によっては手間や時間を要してしまうことがあります。「ボランティア用&HAND」は、手助けを必要とする人とボランティアをキーホルダー型デバイスとLINEアプリでつなげ、より迅速かつ的確なサポートを実現します。
「ボランティア用&HAND」実証実験
視覚障害者とボランティアスタッフ(サービス介助士)をLINEアプリでのマッチングを行います。
日時:2019年3月24日(日) 10:00~18:00
場所:IBSAブラインドサッカーワールドグランプリ2019 リレーションセンターTASKALなど
被験者:視覚障害者・ボランティアスタッフ(サービス介助士)
検証内容
- 被験者(視覚障害者)のスポーツ観戦意向の変化
- スポーツイベントにおける視覚障害者の困りごとの把握
- スポーツイベントにおけるボランティアの応対の最適化
- 「ボランティア&HAND」サービスの有効性と改善点の把握
実験方法
- ブラインドサッカー観戦における一連の行動を、視覚障害者のみで行ってもらう。
- ボランティアの手助けが必要になったな際に、LINEから通知を送る。(スタッフが代理送信)
- LINEの通知を受け取ったボランティアが対応する。
- 実験終了後にインタビューを実施。
実施主体
一般社団法人PLAYERS・公益財団法人日本ケアフィット共育機構
被験者:視覚障害者
Aさん 50代 男性 1種1級 白杖
ブラインドサッカー観戦:はじめて(プロ野球観戦 4・5回程度)
IBSAブラインドサッカーWGP:コロンビアvsロシア(自由席)
Bさん 30代 女性 1種2級 盲導犬
ブラインドサッカー観戦:はじめて(その他スポーツイベントもナシ)
IBSAブラインドサッカーWGP:タイvsトルコ(自由席)日本vsスペイン(自由席)
Cさん 40代 女性 1種1級 白杖
ブラインドサッカー観戦:はじめて(ゴールボール観戦 2回)
IBSAブラインドサッカーWGP:日本vsスペイン(自由席)
初めてのブラインドサッカー観戦に大興奮!
- ブラインドサッカーの観戦は初めてだったが、選手同士が激しくぶつかり合う音が聞こえて興奮した!
- こんなに興奮したのは見えなくなってから初めての体験で、心から楽しむことができました。
- コートと観客席の距離が近くて迫力があって、とっても興奮しました。
- 「見えてないのにどうやってプレイしてるんだろう?」と不思議だったが、ゴールがたくさん決まって気持ちが良かった。
- ラジオ実況があるので、ひとりだけでリラックスして観戦を楽しむことができた。
- ブラインドサッカーのルールが不勉強だったが、ラジオ実況で理解していけるのが面白かった。
&HANDで視覚障害者だけでも安心して楽しめる
- 普段は「見える人」と一緒に出掛けているが、次は視覚障害者の友人達だけで観戦してみたい。
- 次は視覚障害者の友達を誘って観戦したいです!
- ブラインドサッカーのルールを覚えて、次も1人だけで観戦してみたいです。
- いつも外出時は見える人と行動しているが、実験で「ひとりでふらっと出かけた感じ」が体験できて、嬉しかった。
- &HANDがあるのであれば、ブラインドサッカーの他にも行ったことがないスポーツイベントに行ってみたくなった。
- スポーツイベントに限らずに、&HANDがあれば普段の買物や映画鑑賞にも安心して出掛けられる。
&HANDがあれば気兼ねなくボランティアにお願いできる
- いつも手助けが必要になった時は自ら声を出して周囲の人を捕まえているが、状況によっては躊躇する事もあるので、ボランティア用&HANDがあると非常に助かる。
- 付きっきりではなく頼みたい時だけ気軽にお願いできて、確実にボランティアがサポートしてくれる安心感がある。
- &HANDがあれば手助けが必要な時だけお願いできるので、気兼ねなくひとりだけの時間を楽しむことができた。
- 「ラジオを交換して欲しい」「ブランケットを借りたい」など些細な事でも、サポートを依頼できるのはとても便利。
- 女性は「トイレに行きたい」と口で言いづらいので、LINEで送れるのが良い。
- トイレに行く心配もしなくて良いので、安心してビールを飲める。
- キッチンカーでワッフルを買おうと並んでいたら、試合時間になってしまったが、ボランティアさんが席に届けてくれて助かった。
ボランティア用&HANDについて改善して欲しい所
- ボランティアが自分を発見しやすいように、性別や服の色などをLINEで入力できると良い。限定的であれば「顔写真」を使うことも問題ない。
- サポートをお願いした時に確実にボランティアが来てくれるかが心配。来れない場合や時間が掛かる場合は、LINEで教えてもらえると嬉しい。
- LINEを使わずに、キーホルダー型デバイスだけで利用できると嬉しい。手助け内容はボランティアに伝えたいので、複数ボタンか、押す回数で選べると良いかもしれない。
- 手助け内容は、「道案内して欲しい」「トイレに行きたい」「買物したい」「一緒に観戦して欲しい」が欲しい。
ブラインドサッカーの観戦における困りゴト
ひとりでの行動について
- はじめての駅だったので、駅から目的地までひとりでの移動は難しい。
- イベント会場は広くて複雑なことが多いので、移動に困る。
- チケット売り場までの移動や購入が難しい。
- チケットやキッチンカーなど、行列に並ぶのが苦手。
- 何か食べ物を買いたい時に、どこに何があるのかが分からない。
ラジオ実況で分からないことも知りたい
- ラジオ実況では伝えていない、自分が知りたい情報について教えて欲しい。(ブラサカのルールを知りたいなど)
- コートに対する自分の席の場所・向きが分からなかった。(自分の場所を把握した上で実況を聞きたい)
- ゴールの向きが分からなかった。(ボールや選手がぶつかる音の向きや大きさで把握していった)
その他の困りゴト
・ラジオのイヤホンが耳に合わなかったので、交換して欲しい。
・観戦中に寒くなってきたので、ブランケットが欲しくなった。
・盲導犬のトイレはあったが「水飲み」がなかった。
ボランティア活動への要望
- 駅から会場、会場内など、移動については全般的にサポートしてもらえると助かる。
- ボランティアにどこまでお願いして良いのか、ボランティアがどこまで対応できるのかが分からないので、依頼を躊躇することがある。
- 視覚障害者からボランティアに頼みづらい「グッズや飲食の購入」までサポートしてもらえると助かる。
- ラジオ実況がないイベントも多いので、そういった場合は一緒に観戦して状況を説明してもらえると嬉しい。
被験者:ボランティアスタッフ
Dさん 30代 女性
ボランティア経験:2回目
ボランティア経験が少なくても&HANDで安心して活動できる
- ボランティア経験が少なく、これまではサポート方法に戸惑うことがあったが、&HANDは手助けを必要とされている方から直接依頼が来るので、迷わずにすぐ行動できました。
- 手助けを必要とされている方とボランティアの双方にとって、安心感が生まれると思います。
- &HANDがあればボランティア経験が少ない方でも、ボランティアに気軽に参加でき、手助けを必要としている方の役に立つことができると思います。
ボランティア用&HANDについて改善して欲しい所
- LINEにサポート依頼があった際に、ボランティアから「すぐに行きます」や「3分程度お待たせします」など、返信できるようにして欲しいです。
- どこにいるかすぐに見つけられるように、確実に出会える機能があると良いと思います。
- ボランティア間の連絡にも、LINEグループを使えると便利だと思います。
ボランティア活動での困りゴト
- 視覚障害者の方を実際にサポートするのは初めてだったので、状況説明などうまくできているか心配だった。経験を積んで、もっとうまく意思疎通ができるようになりたいです。
0コメント